ポジャギは韓国固有の生活用品で、大切なものを包んだり、食べ物を覆ったり、贈り物の包装として使われたりしました。ポジャギの「ポッ(物を包む意味)」は「福(韓国語ではポッ)」と同じ音であることから”福を包む”という意味にも通じ生活の中で重宝されてきました。
ポジャギの使用範囲は、食卓用、布団用、衣服用、贈り物用などです。韓国のポジャギの注目すべき点は、日ごろ捨てずにとっておいた端切れを使って、ほとんど芸術品に近い生活小物を作ったというところです。
四季の移り変わりがはっきりしている韓国は季節の変化に従った織物が発達しています。夏には風通しがよく涼しい苧麻(チョマ)や麻の布を好んで使い、春秋は紫薇紗(チャミサ…光沢と張りのある絹織物の一種)、甲紗(カプサ…紗の中で上等の物)、塾庫紗(スクコサ…練り糸で織った高級紗の一種)などのうすぎぬ類、冬には洋緞(ヤンダン…織り模様が入った絹織物)、繻子(シュス)、明袖(ミョンジュ…絹織物の中で地模様のないもの)等が使われました。
チョガッポと呼ばれるパッチワーク様のポジャギは、このような多様な織物を用いて作られたため、種類や模様が実に多様です。特に苧麻(チョマ)や麻を素材とした物は縫い目をきれいに揃えたケッキパヌジルという技法を用いて裏表がないように作られています。
ポジャギは、古くは10世紀の高麗の時代から王朝貴族たちに使われ、やがて庶民に広がりました。最も盛んに作られたのは、18世紀頃でしたが、20世紀に入っても日用品として使われました。近年針仕事をする女性が少なくなってきたことから、ポジャギを作る家庭は余り見られなくなりました。
しかし、最近、再びポジャギの魅力が見直されてきました。 ごく普通の女性たちの手先から生まれたチョガッポの美しさは、ときには西洋画家の絵画から感じるような洗練さで、また、ときには田舎のおばあちゃんの素朴な安らぎで、私たちに穏やかな感動を与えてくれます。
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